アレクサンドル・ヴォロディンのカプスチン「ソナタ2番」 ― 2012/03/19
NHK-FM「ベスト・オブ・クラシック」。
カプスチンの「ソナタ2番」はペトロフ、アムランの「クラシック演奏家」の極点ともいうべきレヴェルの高い演奏がある。カプスチン本人の演奏はというと明らかに二人の演奏とは趣が違う。自作ということもあるがノリとアドリブ感がペトロフ、アムランとは全く違うように聴こえる。どちらが良いとか正しいとかいう問題ではなくこれは演奏のスタイル、考え方の違いであろう。アムランがインタビューで「私はジャズ風の作品を演奏することで満足なのです」と語るのは「クラシック演奏家」である自覚の表れであろう(「クラシック演奏家」がジャズピアニストの真似をして弾くのは相当に聴き苦しい)。ヴォロディンの演奏も「クラシック演奏家」のものであるがカプスチン本人との親交もあるらしいのでやや「どっちつかず」の感もある。だからと言ってまずい演奏家といえばそう云う訳ではなくライヴで聴けば吃驚する演奏だと思う。ただカプスチン作品の演奏の難しさ、それは技術的なことではなく、上記のスタイルの問題を改めて考えさせるものであった。大げさにいえば、この問題を素通りしてはカプスチンの作品は安易に手掛けるべきではないだろう。
カプスチンの「ソナタ2番」はペトロフ、アムランの「クラシック演奏家」の極点ともいうべきレヴェルの高い演奏がある。カプスチン本人の演奏はというと明らかに二人の演奏とは趣が違う。自作ということもあるがノリとアドリブ感がペトロフ、アムランとは全く違うように聴こえる。どちらが良いとか正しいとかいう問題ではなくこれは演奏のスタイル、考え方の違いであろう。アムランがインタビューで「私はジャズ風の作品を演奏することで満足なのです」と語るのは「クラシック演奏家」である自覚の表れであろう(「クラシック演奏家」がジャズピアニストの真似をして弾くのは相当に聴き苦しい)。ヴォロディンの演奏も「クラシック演奏家」のものであるがカプスチン本人との親交もあるらしいのでやや「どっちつかず」の感もある。だからと言ってまずい演奏家といえばそう云う訳ではなくライヴで聴けば吃驚する演奏だと思う。ただカプスチン作品の演奏の難しさ、それは技術的なことではなく、上記のスタイルの問題を改めて考えさせるものであった。大げさにいえば、この問題を素通りしてはカプスチンの作品は安易に手掛けるべきではないだろう。
コメント
_ やまだ ― 2012/03/20 22:37
はじめまして。旧サイトの時から愛読させて頂いております。私はジャズとクラシックを両方聴いたり、演奏も少しするのですが、10数年前にカプスチンがクローズアップされて以来、その楽曲に興味を持ちつつも、作曲者の自作自演も含めてスイングしていない事を歯がゆく思っています。とはいえ、カプスチンの楽曲は平均的なジャズピアニストには技巧的に歯が立ちません。クラシックの演奏家がカプスチンを手がける前段階として、市販されている様々なジャズのコピー譜とその元になった録音を参考に、スイングのエッセンス(私見ではアーティキュレーションがポイント)を吸収する必要があると思います。
_ やぎりょうへい管理人 ― 2012/03/24 01:33
コメントありがとうございます。クラシック演奏家にとってカプスチンが魅力的な理由は高度な技巧に裏付けられたジャズの即興的パッセージがすべて楽譜に記されているところです。これがご指摘のとおり曲者で楽譜どおりに演奏すればある水準以上で再現することはできるもののいわゆる「ジャズのフィーリング」が欠如した演奏になってしまうことです。問題はアムランのようにフィーリングの欠如を自覚する(それはそれでひとつの回答なのですが)ことなく全く無自覚に演奏するピアニストが多いことでしょう。それほどカプスチンの作品は魅力的であることの表れでもある訳なのですが。私の友人のジャズに詳しい人もカプスチンの作品は面白くないと言い切ります。
カプスチンの作品を演奏する時の難しさの根本的な問題はここにあるのではないかと私は考えています。私見ではカプスチンの作品はメトロノーム的なテンポの正確さを要求されると思います。パーカッションは好き勝手にテンポを変えませんから。パーカッションと一緒に練習すれば如何にいい加減なテンポで演奏しているかわかるのじゃないかと思います。
カプスチンの作品を演奏する時の難しさの根本的な問題はここにあるのではないかと私は考えています。私見ではカプスチンの作品はメトロノーム的なテンポの正確さを要求されると思います。パーカッションは好き勝手にテンポを変えませんから。パーカッションと一緒に練習すれば如何にいい加減なテンポで演奏しているかわかるのじゃないかと思います。
_ やまだ ― 2012/03/29 00:26
レスポンスありがとうございます。おっしゃる通り、テンポキープは確かに重要ですね。さらにつけ加えるならば、パーカッションとピアノがぴったり縦の線が合ってしまうと詰まらなくなってしまうのがジャズでして、パーカッションに対して微妙に音を早く出したり遅く出したりすることで、スイング感が出ます。ピアノソロの場合は伴奏パートとメロディパートの関係性に当てはまると思います。
_ 近藤美樹 ― 2012/04/11 21:06
はじめまして。声楽をしております近藤美樹と申します。少し前に沖くんの方から歌の伴奏を探していると連絡がいっていることと思いますが、ブログを書いていらっしゃるのを見て直接お願いしたいと思い書かせていただきました。私も豊中に住んでいてコンクールの為の伴奏者を探しております。歌の伴奏にご興味はないですか?実は3月31日のアマデウスでの演奏会を聞かせていただきお声をかけれたらと思っていたのですが、急遽都合が悪くなりかないませんでしたので、八木さんのブログの内容には似つかわしくないコメントとなってしまいゴメンナサイ。一度ご連絡いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
_ やぎりょうへい管理人 ― 2012/04/26 01:07
近藤さま
コメントありがとうございます。
直メール頂けますでしょうか。
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